「鼓室形成術」術式まとめ

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みなさんこんにちは、にこやです。

今日は、耳鼻科疾患でよく聞く「鼓室形成術」の術式についてまとめたいと思います。

注意:これは、筆者の勉強のまとめです。間違っている内容があれば教えてください。

 

まず「鼓室形成術」とは何か

よく「鼓膜形成術」とどう違うの?といった話をききます。

すごく簡単に言うと、「鼓膜形成術」は鼓膜を治療する手術で、「鼓室形成術」は、鼓膜を含め耳小骨が手術範囲に入る手術のことを言います。
耳小骨のある空間を「鼓室」というので、繋げて覚えたら楽ですね。

適応となる主な疾患

  • 穿孔性中耳炎
  • 癒着性中耳炎
  • 真珠腫性中耳炎
  • 慢性中耳炎
  • 鼓室硬化症
  • 中耳炎術後症

などがあります。

鼓室形成術式の種類

鼓室形成術式の種類
鼓室形成術の術式の種類には、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型(Ⅲ-c, Ⅲ-i, Ⅲ-r, Ⅲ)、Ⅳ型(Ⅳ-c, Ⅳ-i, Ⅳ)といった種類があります。

Ⅰ型(いっけい)

耳小骨の欠損がなく、伝音連鎖が保たれているときに選択する術式です。
新しい鼓膜を、既存の耳小骨の上につなげます。

Ⅱ型

キヌタ骨上に鼓膜を作ります。
鼓室の大きさが変わってくる?とかで最近は行われていません。

Ⅲ型

アブミ骨上部構造が利用できるときに選択されます。
ツチ・キヌタ骨を除去して、新しい鼓膜を直接アブミ骨上部構造の上につくります。

※アブミ骨=上部構造+底板

Ⅳ型

アブミ骨底板が使える時に選択されます。新しい鼓膜をアブミ骨底板上につくります。

※数字が大きくなるにつれて、術式の難易度は高くなります。
 

Ⅲ型とⅣ型は、その形成の仕方からさらに分類されます。

『鼓室形成術』Ⅲ型Ⅳ型種類
Ⅲc型、Ⅲi型、Ⅲr型、といったものがあります。

Ⅲc型

ツチ・キヌタ骨を除去し、アブミ骨上部構造に、「コルメラ」という振動を伝える支柱を挟むやり方です。
音はツチ・キヌタ骨を経由せず、鼓膜からコルメラを通じてアブミ骨に伝わるようになります。

コルメラの材料

  • 除去した耳小骨や、耳周辺の軟骨等の自己組織
  • 人口材料のセラミック(こちらの方が音の伝わりがいいけど、異物なので感染リスクは高まります)

Ⅲi型

アブミ骨の上部構造と、ツチ骨またはキヌタ骨の間に材料を挿入して音をつなげるやり方です。
両者を区別する場合に、以下のような亜分類を用います。

  • Ⅲi-M:アブミ骨上部ーツチ骨間
  • Ⅲi-I:アブミ骨上部ーキヌタ骨間

Ⅲr型

キヌタ骨を正常な位置に復帰させ、アブミ骨につなげるやり方です。
 

Ⅳ型にもⅣc、Ⅳi ( i-M, i-I )がありますが、基本的にアブミ骨の上部構造を使うか、底板を使うかの違いなので、Ⅲ型を覚えておけば問題ありません。

Ⅲ型→アブミ骨の上部構造が残っているから、上部構造を使うんだな、
Ⅳ型→アブミ骨の上部構造は壊れているから、底板を使うんだな、

みたいな。

ちなみにⅢrはあってもⅣrはないので注意してくださいね。

 

~真珠腫性中耳炎の場合~

真珠腫性中耳炎の場合、オープン法、クローズ法、再建法、といったものがあります。

外耳道後壁削除法(Canal wall down,CWD):オープン法

乳突削開と同時に外耳道を大きく削る方法です。
術野を広く確保できるため、真珠腫をしっかりとることができます。
真珠腫は再発を防ぐことが非常に大事であるため、このメリットは非常に大きいです。

反面、創が大きくなるので感染リスクが高まったり、耳漏の再発リスクが高くなったりします。
中耳腔の形が大きく変わるので、耳閉感を感じたり、音の聞こえが悪くなったりします。
外耳道が大きく開いているので汚れがたまりやすくなり、定期的な掃除が必要となることがあります。

外耳道後壁保存法(Canal wall up,CWU):クローズ法

外耳道を削らず乳突削開のみを行い、前(温存した外耳道)と後ろ(乳突洞を裂開した部分)から真珠腫を摘出する方法です。
外耳道を自然な形で温存できるため、音の聞こえが自然であり入院期間も短いというメリットがあります。

反面、術野が狭まることによって生じる死角ができてしまい、真珠腫の取り残しが生じるリスクがあります。
真珠腫の取り残しは、再発リスクを引き上げてしまうので、この点には注意が必要です。

※乳突削開とは:
耳たぶの後ろには乳突突起という突出があります。
乳突突起の中には小さな空洞が多数存在し、ハチの巣のようであることから乳突蜂巣(にゅうとつほうそう)と呼ばれています。
乳突蜂巣の奥には乳突洞という空洞があり鼓室へと連絡しているため、ここを手術で切り開くことで鼓室の手術を行うことができます。
この部分を削開しても、術後に問題が生じることはありません。

再建法

オープン法で真珠腫を摘出した後、外耳道を作り直す方法です。
人工骨や軟骨、筋肉や筋肉の膜などを用います。
長期間の経過により再建した外耳道が凹むと、オープン法で述べたデメリットが起こります。

 

お疲れさまでした。

鼓室形成術には、

Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型(Ⅲ-c, Ⅲ-i, Ⅲ-r, Ⅲ)、Ⅳ型(Ⅳ-c, Ⅳ-i,Ⅳ )

という様々な種類があることがわかりましたね。
上記の術式について、なんとなく理解することはできたでしょうか。

新たに分かったことがあれば随時更新していきます。

参考本・サイト・文献

・Medical Note
・吉田晴朗,高橋晴雄:鼓室形成術-canal wall down-,頭頚部外科,27(1):1~3,2017
・山本裕:伝音再建法の分類と名称についてー専門医通信,116-1248,2013

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