【看護師】「急性腎障害(AKI)」を丸ごと理解できます【超解説】

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こんにちは、にこやです。

今回は、なにかと高齢者に多い(ような気がする)「急性腎障害(AKI)」について解説していきます。

腎臓内科にいる人はもちろん、すべての看護師の方に是非知ってほしい知識です。
特に新人看護師さんは、こちらの記事でなんとなくのイメージを付けていただけたらと思います。

以下、「急性腎障害」を「AKI」表記に統一します

本記事の内容

  • AKIの定義・分類
  • AKIの発症機序
  • AKIの症状
  • AKIの看護

AKIの定義・分類


AKIの定義・分類はさらっと知っておくぐらいで大丈夫です。

AKIの定義

  • 「腎機能が急激に低下し不全状態となった結果、体液の恒常性が維持できなくなった状態」(ARFの定義)
  • 「何らかの原因により急激に腎臓の細胞に障害が加わり、機能不全に先行して比較的軽度な腎機能低下を確認できる状態」

元々は、急性腎不全(ARF)という概念がありました
その後、腎機能低下例での予後を改善しようとする動きの中で、ARFを含んだ新たな概念が生み出されます。

それが、AKI(急性腎障害)です。

AKIの分類

分類には3つあります。

  • ①RIFLE分類
  • ②AKIN分類(2005年)
  • ③KDIGO分類(2010年)

日本腎臓学会が推奨しているのは、③のKDIGO分類です。

以下に、それぞれの分類を載せます。「ほ~ん、こんなものがあるんだな。」くらいにご覧ください。

①REFLE分類

血清Cre増加 GFR低下 尿量基準
Risk 基礎値≧1.5倍 >25% <0.5ml/kg/h(6時間以上持続)
Injury 基礎値≧2倍 >50% <0.5ml/kg/h(12時間以上持続)
Failure 基礎値≧3倍or≧4.0mg/dlの増加で急激なCre0.5mg/dl上昇を伴う <75% <0.3ml/kg/h(24時間持続)or無尿(12時間持続)
Loss 持続性の急性腎不全:4週間以上腎機能喪失(腎代替療法を要する)
ESKD 末期腎臓病:3か月以上腎機能喪失(腎代替療法を要する)
※Cre=クレアチニン
ESKD=end-stage kidney disease

腎機能回復、生存者の入院期間、院内死亡の予測に有用であるという報告があります。

その後の多くの検討で、RIFLE分類はARFの重症度と死亡率の段階的な関係を示す良い指標であると示されています。

②AKIN分類

ステージ 血清Cre基準 尿量基準
stage1 ≧0.3mg/dlの増加or1.5~2倍に増加 <0.5ml/kg/h(6時間以上持続)
stage2 2~3倍 <0.5ml/kg/h(12時間以上持続)
stage3 血清Cre≧3倍or≧4.0mg/dlの増加で急激なCre0.5mg/dl上昇を伴う(腎代替療法患者はステージ3) <0.3ml/kg/h(24時間持続)or無尿(12時間持続)

血清Cre0.3mg/dlという軽度の上昇が生命予後に重大な影響を及ぼす、という研究に基づき診断基準が変更されています。

アメリカ・ヨーロッパからの大規模データベースに基づいた検討では、重症度分類が進行するにつれ、他疾患とは関係なく死亡リスクが増加することが検証されています。

③KDIGO分類

ステージ 血清Cre 尿量
stage1 基礎値の1.5~1.9倍or≧0.3mg/dlの増加 <0.5ml/kg/h(6~12時間持続)
stage2 基礎値の2~2.9倍 <0.5ml/kg/h(12時間以上持続)
stage3 基礎値の3倍or≧4.0mg/dlの増加or腎代替療法開始or18歳未満の患者ではeGFR<35ml/min/1.73m2の低下 <0.3ml/kg/h(24時間持続)or無尿(12時間持続)

先2つの基準を比較した研究から、どちらかでのみAKIと診断される症例があり、どちらも予後が悪いことが分かりました。

この研究から、2つの基準を合わせて使用する必要性が示され、2012年にKDIGO基準が生まれます。

最も大きな変更点としては、発見時の高い血清Cre値が速やかに低下した場合、その値を基礎値としたことです。
血清Cre値の改善後との比較で、AKIの診断とステージ分類が可能となりました。

また、18歳未満では筋肉量が少なく血清Cre値が4mg/dl以上に達しないことがあるため、eGFR<35 mlmin1.73m2の低下をステージ3としています。

ちょっと長かったですね。一休みしましょう。次は、発症機序についてです。

AKIの発症機序-①

大きく5つに分けられます。

  • ①糸球体血流の低下
  • ②糸球体係啼毛細血管壁の透過性低下
  • ③尿細管障害部位からの糸球体濾過液の漏出
  • ④尿細管の閉塞
  • ⑤傍尿細管毛細血管の循環不全
    →腎前性、腎性、腎後性に分類される

それぞれ解説していきます。

①糸球体血流の低下

レニンーアンジオテンシン(RA)系や、プロスタグランジン(PG)系による輸入細動脈への血流量の低下や、輸出細静脈の拡張により引き起こされます。

糸球体血流量が低下すると、排泄機能が低下することで過剰な老廃物が蓄積され、腎機能障害を引き起こします。

②糸球体係啼毛細血管壁の透過性低下

糸球体係啼毛細血管壁は、簡単にいうと「糸球体毛細血管の壁」です。
係啼壁と呼ばれる壁が、毛細血管を通過する血液を濾過して、原尿を作り出しています。

「透過性低下」というのは、いわるゆ「濾過機能の低下」です。

③尿細管障害部位からの糸球体濾過液の漏出

糸球体濾過液とは、離宮体で血液が濾過されてできた液体、つまり「原尿」のことです。
体内では150~180L/dayと相当な量の原尿が作られています。

これが漏れ出すとどこに影響が出るかと言いますと、「ネフロン」ですね。
こちらの図が分かりやすいです。

 
ネフロンが障害されると腎機能自体が障害されることになり、全体の機能が低下していきます。

④尿細管の閉塞

尿細管障害などにより生じた壊死組織が、尿細管を閉塞させ内圧を上昇させます。

尿細管が閉塞してしまったら原尿の渋滞が起こってしまいますね。
想像しただけでも恐ろしいです。

⑤傍尿細管毛細血管の循環不全

虚血や、腎毒性物質により発生する活性化酵素により循環不全が起こります。
こちらは、さらに(1)腎前性、(2)腎性、(3)腎後性に分類されます。

AKIの発症機序―②


先ほど、循環不全によるAKIが腎前性、腎性、腎後性の3つに分類される話をしました。
それについて詳しく見ていきます。

(1)腎前性の循環不全

腎動脈への血流が減り、腎機能が低下します。
平均血圧を見るのが大事で、だいたい60mmHg以下になると発症しやすいので注意が必要です。

※平均血圧の式
平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧ー拡張期血圧)÷3

腎動脈への血流の減少を引き起こす要因としては、以下があります。

脱水、心不全、低酸素血症、高度な貧血、腎うっ血etc

通常、平均血圧が65mmHgまでは腎灌流は保たれますが、次のはちょっと例外です。

正常血圧性虚血性AKI(NT:AKI)

(normotensive ischemic=NT)

  • 動脈硬化などで輸入細動脈の器質的変化がある場合
  • 敗血症など重症感染症で機能的狭窄が見られいる場合

上記に当てはまり自動調節機能が破綻した患者では、NSAIDs、RA系降圧薬の使用で正常血圧性虚血性AKIをきたしやすいと言われています。

※RA系降圧薬=ACE-I、ARB

(2)腎性の循環不全

ネフロン全体の機能が低下するタイプで、3つに分けられます。

  • a.糸球体障害型
  • b.腎内血管障害型
    ①動脈系障害・・・内皮細胞障害や、血栓により血流が途絶える
    ②静脈系障害・・・血栓や、下大静脈の閉塞が原因で起こる
  • c.尿細管間質障害型・・・腎毒性物質、炎症、腫瘍などが尿細管or間質を障害する
    ①薬剤性腎障害
    ②膠原病に伴う尿細管間質性腎炎
    ③その他

c-①の薬剤性腎障害は結構あるので、細かく見ていきましょう。

薬剤性腎障害

抗菌薬、NSAIDsがアレルギーの機序で尿細管腎炎を起こし、AKIに至らせます。
有名なのが「造影剤腎症」です。

造影剤腎症

ヨード造影剤投与語27時間以内に血清Cre値が0.5mg/dl以上or25%以上増加した場合

に診断されます。

〈機序〉

  • ①輸入細動脈の収縮
  • ②尿細管の直接的な障害
    (浸透圧利尿→Na輸送→酸素消費etc)

〈危険因子〉

  • 腎障害(Cre1.2以上)
  • 糖尿病
  • 多発性骨髄腫
  • 高齢者(70歳以上)
  • 循環血液量の低下(心不全・脱水)
  • NSAIDsやRAS抑制薬の併用
  • 造影剤多量投与(200ml以上)
  • 高浸透圧性造影剤の使用

〈予防〉

検査前後の輸液:12時間前~12時間後に生食1,000~2,000ml投与する。

糖尿病や慢性腎不全のある人は、AKIのハイリスク群になります。

あと、投与1~2日で血清Cre値が上昇しますが、非乏尿性であることが多いようです。

(3)腎後性の循環不全

先天性疾患(両側の尿路を閉塞する)or後天性疾患で発症します。無症状なので、エコー検査などで発見されることが多いようです。

ここまで、お疲れさまでした。
いよいよ次は、AKIの症状・看護の本題へ移りましょう。

AKIの症状


症状は、大きく分けて5つあります。

  • ①尿量の減少or無尿
  • ②呼吸器症状
  • ③消化器症状
  • ④神経・筋症状
  • ⑤血液・凝固系症状

①尿量の減少or無尿

前駆期→乏尿期→乏尿後期→回復期

と進行していきます。

乏尿期はおおよそ10~14日程といわれていますが、個人差が大きいようです。
乏尿後期では、尿量は段々と戻ってきますが血清Cre値・SUN値の改善には更に日数が必要です。

回復期では、多尿期にあたり2.500ml/day以上もの尿が排泄されます。ただし、尿細管機能不全は続きますので電解質異常は改善しません。

Na喪失や、高Cl性代謝性アシドーシスは続きます。

②呼吸器症状

水分貯留→肺水腫とつながり、起坐呼吸が見られることがあります。

乏尿=脱水!と安易に関連づけ、輸液などすると肺水腫を増悪させてしまうことになりますので十分注意してください。

ちなみに、腎不全による肺水腫を「尿毒症性肺(uremic lung)」といいます。

③消化器症状

高窒素血症から食欲不振、悪心・嘔吐などが出現します。
重篤な消化管出血が引き起こされることもあるので、注意が必要です。

④神経・筋症状

電解質異常から全身倦怠感、昏睡、痙攣などが出現します。
厳密には、アニオンギャップ上昇を伴う代謝性アシドーシスが引き起こされますね。

重炭酸イオン(HCO3-)は15~20mmol/L程です(基準:22~26)。

⑤血液・凝固系症状

体液過剰による希釈性貧血、血液凝固系・血小板機能低下から、胃出血性、高度な出血性病変を引き起こします。

消化器症状での消化管出血にも関連してきますね。

以上の出現する症状を踏まえて、どのような看護が必要であるか考えていきましょう。

AKIの看護


情報収集と観察項目をざっと挙げてみます。

情報収集

  • 年齢
  • 既往歴
  • 服薬歴
  • 家族歴
  • 採血データ
  • どのような経緯でAKI発症に至ったのか

観察項目

  • VS(血圧、SpO2、KT、HR、呼吸数)
  • 悪心・嘔吐の有無
  • 下血・吐血の有無
  • 呼吸音の聴取
  • 咳嗽の有無
  • 尿量

ざっと挙げてみました。

治療の方針としては、対症療法を進めていって腎臓の回復を待つ、というスタンスであることが多いです。

(なぜなら、腎臓は驚異的な回復力を発揮するから)

従って、看護師の観察ポイントは①血圧管理、②体液管理にあるといえます。
加えて、患者の苦痛を傾聴しながら緩和できるようアプローチしていきましょう。

①血圧管理

当然VSを測っていくのですが、平均血圧を見る習慣をつけましょう。

※平均血圧の式
平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧ー拡張期血圧)÷3

通常、平均血圧が65mmHg以上あれば腎灌流が保たれているとアセスメントできますが、経時的な変化にも着目する必要があります。

②体液管理

in-outバランスをアセスメントできるようになりましょう。

こちらについては、ここに書くとおさまらなくなってしまうのでまた別記事で詳しくまとめたいと思います。
少々お待ちくださいませ_(._.)_

他の観察項目は、患者の原疾患や既往歴、服薬歴などを見て観察が必要だと判断したものについてを観察していきましょう。

例えば、肝硬変があり肝機能が低下していたらより出血リスクが高いので注意して観察してみる、とか。

アセスメントの判断材料として、情報収集はかなり大事ですね。

まとめ

お疲れさまでした。
かなり長い勉強会となってしまいましたね(;^ω^)

私もちょっと疲れてしまいました。(笑)

でも、みなさんの急性腎障害に対する理解、そしてアセスメントがこれで深まっていただければいいなと思います。

では、今回参考にさせていただいた本・文献・サイトをご紹介します。

参考文献・サイト

参考本

ちょっと高いですが、これ一冊で相当理解が深まります。
透析に関わりのある方は、必読の書です。

それでは、今回はこのあたりで。
お疲れさまでした(*’ω’*)

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